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<ネタバレ> 友人が昔、経費の不正使用と勤務状況の改竄で会社に陥れられた事があった。当時は小泉政権下のミニバブルと言われた世の中で、特に努力をしていなくても仕事に切れ間が無く、他の誰かが勝手に稼いでくると言う狂った世界だった。
その中で、彼は仕事を全くしないで経費の不正使用と備品業者との癒着で生活していた上司の目にとまってしまったらしい。友人は社内の正常化を牽引していたが、本当は優秀であったがため彼の周りにいる人間がパフォーマンスを見せないと釣り合わなくなってきてしまったのが実態らしい。
だが、これを面白く思っていない人間が居た。彼の上司と社長だ。同性愛や上司が会長の妾腹では無いかと疑われているほどに、不自然に親密だったのだ。
突然会議で偽造書類と嘘の勤務報告が行われて、進退伺いを言い渡された彼は私の所に相談に来たのだった。
「俺は会社で陥れられた。いったいどうしたら良いんだ」とうなだれる彼に挽いたばかりのコーヒーを勧める。そしてアドバイスを待つ彼に話しかけた。
「面白い話だな、俺だったら狂喜乱舞しちゃうよそれ」
意味が解らんと言う面持ちでカップが右手に浮かぶ。そう言う事では無くてどうしたら良いんだよ俺は、と苛立っているようだった。
「映画だとドラマになっちゃうんだよな、でも現実は違う。君は私の所に来たからには何にもしなくて良い」と言ったとき、私は薄ら笑いを浮かべていたらしい。
すぐに馴染みの弁護士を呼び出して、友人がこっそりコピーしたという偽造文書を手渡し色々と耳打ちをすると、弁護士は言う。
「いや、こう言うの待ってたんだよ簡単ですかっとするヤツ」笑いながら颯爽と去って行く彼に気の抜けた声で、じゃ頑張ってねなどと笑いながら言う二人を見て、友人は狐につままれたままだったが、来週には解決してるからせっかく来たし遊んで行きなよという提案にそのまま乗って、帰って行った。
その後弁護士は労基署でわめき散らし、社長の自宅に押しかけ脅しのような話をさんざん聞かせたのだった。本人も含め社内の人間のあずかり知らない所で事件は解決したのだが、小さな会社のオーナーやその腰巾着あたりが自分の性癖を満たしたいと言うだけの動機で人一人を陥れようとすると、痛い目に遭う。
そう言う事を思い出す映画だった。が、映画の方はそこまで面白くなった。