<ネタバレ>動物物を文芸風にきちんと作った映画は珍しい。あるようでそんな .. >(続きを読む)
<ネタバレ>動物物を文芸風にきちんと作った映画は珍しい。あるようでそんなに無い。
結構しっかりした作りに見入った。
偶然御子神さんによって繋がりが正しく強く作り上げられた家族の話や、人生との繋がりを初めて感じるその父親といった純文に近いテイストのストーリーに好感が持てる、と思ったら原作があった。目の付け所が良いなあ。
御子神さんじゃなかったらこの家族はこうならなかった。御子神さんじゃなかったらこのようなドラマは生まれなかっただろう。そう思わせるからこの話は成立している。
それだからこそ、ねこ小説に必須のあのラストの味わいが良い。邦画ならではの後味はやみつきになる。この後の彼の生き様を想像すると胸が痛くなるが、あれほどの思い入れを持った人生の一部を捨てる事と、そこに居てももう二度と得られない隣人を待ち続けることは、徒事としてしまうには様々な苦悩があったはずだ。そこに焦点が当たる事は無かったけれど、馴染む事は無いかもしれない新しい生活はきっと彼を優しく守ってくれると思う。
観る人自身を映す結末は最後のページをめくったときの感覚そのものだった。