<ネタバレ>清貧に身を置くという生き方にすばらしさを感じる一方で、貧しさ .. >(続きを読む)
<ネタバレ>清貧に身を置くという生き方にすばらしさを感じる一方で、貧しさの中で人間を崩さずに生きることの大変さを感じさせられる。
素朴ではあるが、日々の中にあるほんの少しの喜びに敏感な清兵衛が周囲の人間には闇にもがいているかの様に見える。清兵衛の「この暮らしを恥とは思っていない」という言葉は自分の主義には正しくても、身内の気持ちには響かない。
作品のテーマがどのあたりに置かれているのかが判断できないのでそこには重きが置かれていないだろうが、当人の気持ちと周りの気持ちのずれをどうとらえていいのか迷ってしまった。
幸せになった清兵衛も幕末の動乱で犠牲になるが、それを避けることは出来なかったんだろうかと切なく考えさせる結末は秀逸だと思う。ほんの少し語られる背景に、時代というのがリアルに映し出される。そこには劇中の、目で見るリアリティ以上に訴えてくる「らしさ」が滲んでいた。