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<ネタバレ>この「ザ・スリラー」はコーエン兄弟の監督デビュー作の再編集版らしい。荒削りな感はあるけど完成度が高く、その後の作品のエッセンスがしっかり見受けられる。スピルバーグにとっての「激突!」みたいな位置づけですかね…。その中身だけど、登場人物のキャラをしっかり立てたうえで、予定調和的なストーリーの流れに誤解や思い込みなどで歪みを入れて、あらぬ方向へ物語を転がして行く。そこから、人生の不条理みたいなものを浮かび上がらせるという手法だ。物語は複雑な展開を見せるが、観賞者には分かりやすいという意味でしっかり楽しめる映画になっている。もう途中からはどうやってまとめるのか心配させるほど混迷させておいて、ちゃんとケリをつける。最後に悪徳探偵の目に映ったものが裏から見た洗面台の配管というのがとても面白かった。配管自体に意味は無いが、視界に入った呆気なくてつまらない物を見せることで、登場人物をリアルに追い続ける姿勢を象徴的に見せた素晴らしいラストカットでした。