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<ネタバレ>「こんな映画は難しくて総括できません」などと言ったら、殺されかねない…。そんな怖さを感じる映画でした。戦争映画などでこの100倍人が死んでも、こんなに怖かったことはない。あさま山荘で被害に遭われた方には申し訳ないが、あれはオマケみたいな事件だったんですね。少なくとも、この映画の頂点は山岳ベースでのリンチ殺人にある。自分には、出来もしないことをやろうとして苛立った執行部の八つ当たりにしか見えなかった。その八つ当たりが次第にエスカレートして行く。続くのは陰湿で過激なイジメです。イジメが原因で人が死んだら、いじめっ子も反省するのが普通ですが、このいじめっ子は共産革命の高邁な理想を精神的な隠れ蓑にして、反対に何故解ってくれないんだとばかりに悲愴ぶる。狂信的という言葉が似合う状況です。でも冷静に見るとイジメで死んでいるだけで、その情けないシンプルさがとても怖かったのだと思います。冒頭に一部フィクションがあるというテロップが入りますが、山荘で高校生が「勇気がなかった」と言った時に、これのことか、と思いました。あのひと言だけが浮いていたのは、ノンフィクションの流れの中に製作者のメッセージを強く感じたからです。この事件は学生運動に救いようの無い陰を落としました。もし、あの山岳ベースにいた人たちに森と永田を止める勇気があれば、その後の学生運動は良い意味で違った展開を見せたのでは…、という若松監督の悔しさが言わせたひと言だと思います。