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<ネタバレ>「仕事」というものを考えてしまう映画でした。ご飯を食べるために「稼ぐこと」と、個人的な「やりがい」の関係について。全ての社会人が持つ命題をテーマにして、そのネガティブな部分をシビアに見せる残酷な映画です。だから、揺さぶられる。余談になりますが、本作の主人公のような立場の人は、結構いると思う。プロレスラーじゃなくとも、専門性の高い仕事には様々なリスクが付きまとう。でも、若い頃にはその専門性が魅力的に見えて、若さのエネルギーだけを頼りに飛び込んで行ったりする。好調な時期があっても、ステージが変わらないまま年月を重ねて色んな負債を抱えたパターンがこの作品です。それは自ら選択した人生のツケ。自分で選んでいるんだから愚痴ることも出来ないし、簡単に改善できない深刻な状況です。本作では、トップロープからダイブした瞬間に映画は終わる。あの後に悲劇が待っていたとしても、それは「本望」という終わり方でした。家族との関係を除くなら、主人公は後悔していないと思いました。外見はとても哀しく痛々しいが、結局はここに戻って来ると云う諦観と共に、自分の居場所に安堵しているようにも見えました。先の話に戻ると、彼は究極の「やりがい」を選択したと思います。正確な想いは推し測れないが、不器用な男が唯一の選択肢を覚悟を持って全うした。私には仕事と心中するような思い入れも勇気もありません。だからという訳じゃないけど、気高く映りました。ブルース・スプリングスティーンの歌が沁みました。