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<ネタバレ>原作を読んでからかなりの時間が経過していることもあるんだけど、「あれ、こんな作品だったっけ?」というのが率直な印象です。主人公は、もっと女ったらしでだらしない人物だったと思ったが、それほどには見えません。活字で心情を吐露し続けるような原作に対し、本作のように映像で外面だけを追っていると、随分と濃度が薄まって見えてしまう。おそらく、主人公の心情が台詞になっているのは「生まれて来てすみません」くらいだったのでは。その使われ方も上手とは思わなかった。原作で最も印象に残っている「恥の多い生涯をおくってきました」というセンテンスが使われなかったことも残念。本作はひとつの作品としてある程度の完成度に到達していると思いますが、あのどうしようも無く弱々しい人物像を描けていると思えない。この映画は生活力の無いイケ面の半生って程度で、人間を失格していません。太宰の代表作を原作としながらそこに焦点が合わないことは罪だと思います。