<ネタバレ>確かにそこには現代を代表するスターが二人いたけれど、大方の人 .. >(続きを読む)
<ネタバレ>確かにそこには現代を代表するスターが二人いたけれど、大方の人が期待した映画とは違っていたのではなかろうか。アレクサンダー・ピアースが何を考えていたのかが分かりづらく、観終わった後も解釈に時間を取られました。最後に隠し金庫に残されていた紙片が「領収書」だったか「小切手」だったかを目視できず、それによって解釈がかなり変わりますが、元ボンドが二人を見逃す判断をしたことから、あれは小切手だったという前提です。最初、ピアースはエリーズと逃げることが目的だったと思いました。しかし、フランクになりすましてエリーズとの接点を作っても、警察がエリーズの監視を止める保障はない。また、最後まで警察はピアースをフランクと思い込んでいたから、ピアースは自ら正体を晒す必要は無かったはずです。そうなるとピアースは、金を返さずにエリーズと別れるか、金を返してエリーズと共に逃げるかの選択肢を持っていたと考えるのが妥当だと思われます。つまり本作は、ピアースが自分の気持ちとエリーズの気持ちを再確認することがテーマだった訳です。ギャングが乱入したのは予定外のアクシデントだったけど、警察が彼らを始末するように仕組んだのは危険な賭けだったのでしょう。ここで最初に戻りますが、エリーズがピアースに対する想いをフランクに話した時点でピアースの目的は果たされたはずです。でも、エリーズがその台詞を言うシーンもフランクが軽く失恋するくらいにしか見えないのが苦しいところで、オチとしての機能を果たしておらず、ラストシーンに繋がって行きません。観終えた後に納得しにくい不可解が尾を引いたので自分なりの解釈は見つけましたが、それでもスッキリしない。この二人の間には語られていないことが多すぎるのです。「ナイト&デイ」みたいな作品を期待していた訳ではないけれど、せっかくの初共演が分かりづらい心理描写と焦点が定まらない演出で凡作になりました。