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<ネタバレ>一生のうちでひとつだけ思い出を選ぶ。自分なら何を選ぶか、ちょっと真剣に考えましたよ。好きな映画を一本だけ選ぶみたいで、とても難しい。ARATAが成仏したのは、現世で誰かと繋がっていた証を得たから。つまり本作が好ましいとする思い出とは、他者との絆の確認ということか。その考え方には素直に好感を持ちました。伊勢谷友介が伊勢谷クン役で出演していて(若い!)、その理屈に一石を投じているのが面白い。彼には良い思い出が無いという訳では無く、思い出にすがって成仏するシステムに対する反抗と受け取りました。懐古趣味的な受動態度への反発と言っても良く、その若者らしいスタンスは分かる。彼も半世紀ほど死者の相手をしてARATAとは違う答を見つけるのでしょう。その間、インストラクターとしての彼に担当される人は気の毒だけどね。ファンタジーは基本設定以外をリアルに作り込まないと曖昧な映画になってしまいますが、本作はその辺りがしっかり留意されていて、このジャンルとしては良質の見本だと思います。[良:1票]