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原作やTVシリーズを知る人なら、かなり端折られた印象を覚える力石戦までの再編集もの。でも、そこそこ観られるのは主人公・矢吹丈の魅力に尽きる。何かに束縛されることに強烈な拒否反応を示し、そこから自由を勝ち取るためには、法律を犯すし他者を傷つけることも厭わない。自分にとって純粋と思えるもの(例えばドヤ街の子供たちからの親愛)は素直に受け入れ大切にするが、欺瞞を感じたこと(例えば白木葉子の少年院慰問など)は徹底的に否定する。特に抑圧された状態をリカバーする際に発するエネルギーが凄まじい。ボクシングにのめり込むきっかけも「力石」という抑圧からの解放だったと思える。この主人公の不敵で暴力的でナイーブである種の愛嬌もあるキャラクターが、連載当時からもの凄いパワーを放出していたし、それはこの再編集映画からも感じ取れる。ウルフ金串とのクロスカウンターの打ち合いには子供の頃の熱狂が皮膚感覚として蘇った。今作で描いていない部分なので詳述はしないけど、力石戦後に矢吹丈は変わって行きます。そこで初めて「あしたのジョー」は一人の青年の人生を描き切り、いわゆるスポコン漫画&アニメの金字塔として輝きを放ったと思っています。最終的に肯定できる生き方だったかどうかは別にして、私も間違いなく大きな影響を受けた一人。5点はあくまで再編集ものへの評価です。