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<ネタバレ>大好きな石坂金田一5部作の中でも個人的にこれは最下位にランクされる。まず主要俳優陣の演技がイマイチ印象に残らない。特に佐分利はいつにも増して何言ってるのかわからない。大原麗子や司葉子もどうも無難過ぎる気がするし。またストーリー的には殺人の動機が弱すぎると思う。もともと金田一モノはトリックや推理云々より殺人の背景にある、いわばメロドラマ部に重きがおかれており、そういう意味ではあの程度の動機では見ている方は殺人に対して納得出来ない。犯人が単なる殺人鬼に思えてしまい、肝心のドラマ部が破綻してしまうのだ。つまりミステリー部もドラマ部も、そして演技部も弱く結果作品全体として弱くなっている。金田一が575の並びのカラスを見て「俳句だ!」と気が付く部分も「なんだかな~」という感じだし。そして最大の欠点はタイトルバックに流れるあの「ボヨヨ~ン」。なんだあれ?「犬神」の「さあこれから一体なにが起こるんだろう」と見ている者を作品の世界に引き込むタイトルバックとBGMに比べ、なんという情けなさ。思わずズッコケル。このぼんやりした雰囲気を最初に印象付けてしまった為、結果的に最後までぼんやりした印象を引きずってしまう。まあ、救いと言えば相変わらず素晴らしい草笛光子(残念ながら出番が少ない)とこれまた相変わらず印象的な殺人描写位か。