石神は数学だけに熱中していれば、こんな事件に巻き込まれること .. >(続きを読む)[良:1票]
石神は数学だけに熱中していれば、こんな事件に巻き込まれることはなかった。だが彼は、愛を知った。人のために泣ける心を持ち、自分のために泣いてくれる人を得たとき、彼はより人間らしくなれたのだろう。
「愛」は本来、あまりいい意味の言葉ではなかった。仏教用語では「渇愛」といい、執着する心を指す。彼が人を愛し、その人のために尽くしたいと思うとき、同時に他人には信じられないほど薄情になれる。人の愛とは、そうしたものなのだろう。
アダムとエバは、言いつけにそむき禁断の木の実を食べた。二人が最初にしたことは、不都合なものを隠蔽することだった。そして次にしたことは、嘘をついて欺くことだった。神はそれを赦さなかった。罪を犯した二人は、もう楽園には居られなくなった。[良:1票]