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<ネタバレ>ドタバタコメディの傑作。とにかくコメディとしてのテンポが良く観客を飽きさせない。またコメディでありつつも完全にカリカチュアされた話でもありより深い映画となっている。やや不謹慎なギャグが多い気もするが、この位強烈な方が観客の記憶に残り易いだろう。またそんな強烈な風刺を42年当時にしたということがまた凄い。ナチズムを痛烈に皮肉った映画としてはチャップリンの『独裁者』が金字塔であることに異論は無い。また本作では『独裁者』の様にナチスを糾弾する演説や声を大にした主張はしない。しかしナチスのバカさ加減を笑い飛ばしている度合いは本作の方が上だろう。何せ主人公はナチスから祖国を救うよりも嫁さんとイケメンパイロットの浮気の真相の方が終始気になっているのだ!ナチスからしたら逆説的にこれ程バカにされた話は無いだろう。今考えるとタランティーノの『イングロリアス・バスターズ』は本作に非常に影響を受けているのだろう。そういう部分でも素晴らしい映画だ。最後に枕流さんも仰っていますが許せなかったのが日本語字幕だ。誰が付けているのかはデータがないので分からないが、いくらなんでも酷すぎる。誤字脱字は当たり前、場面によっては男性の台詞が女言葉になっている(恐らく字幕をプリントした後のチェックを怠っているのだろう)、早口の掛け合いでは丸々一つの台詞のやり取りをすっ飛ばしている箇所すらある。とてもじゃないがプロの水準の仕事とは思えない出来だった。本作の字幕担当者は一つの傑作を自身の適当な仕事によって台無しにしていることに早く気付いた方が良いだろう。