<ネタバレ>その長さから正直、敬遠していたが、今回観て、先ず、志村喬がい .. >(続きを読む)
<ネタバレ>その長さから正直、敬遠していたが、今回観て、先ず、志村喬がいい。
一人一人のキャラクターが丁寧に描かれている中、とりわけ志村喬演じる島田勘兵衛は、武士たることの誇り、立身出世を果たせなかった悔い、若者に安易に迎合せずとも突き放すこともしない大人の姿勢、百姓の窮状を救おうと決意した後の潔い戦う姿勢、そして戦にあっては沈着冷静、一貫して破綻皆無の魅力的な主人公として描かれている。
それに並ぶ菊千代の三船敏郎、片山五郎兵衛の稲葉義男、久蔵の宮口精二、千秋実も加藤大介も木村功も、若い頃は、こんな格好良い役柄で邦画界で活躍していたのだ。知らなかったなぁ。
ラスト、菊千代が本当に侍になる。自らを犠牲にして、盗賊の大将を討ち取る。撮影当時、黒澤監督は演出手法として、ドヴォルザークの新世界を鳴らして役者を奮起させたそうだが、個々の殺陣は実はそんなに派手ではない。それが観る者を、次は?次は?と引っ張ってくれる。
どうしても自分の世代、ユル・プリンナーの「荒野の七人」と比較しがちだが、それはそれで面白いが、ラストの言葉、「勝ったのは俺達じゃない、農民達だ」の米国版より、「また負け戦であった、勝ったのは百姓達であった」のオリジナル日本版の方が、何度も云うけど、個々の七人のキャラクターの総意だったし、締め括りの台詞として、最高だった。