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<ネタバレ>間違いなく史上もっともネタばれしている映画です。「人類滅亡後の猿が支配する地球に帰りついた宇宙飛行士」なんて映画紹介を書くジャーナリストまでいるぐらいで、おそらく20歳以上でこの結末を知らない人はいないでしょう。でも公開間もない頃に何も知らずにこの映画を観てしまった時の衝撃ときたら、自分の中では未だに三大トラウマ映画のひとつに君臨しています。 昨今の邦画と違っていろいろなプロット上の謎を放置したまま物語は終わってしまいます。宇宙船は何を目的としていたのか、人間はなぜ言葉どころか声さえ出すことが出来ないのか、などけっこうあるんです。でもこういうあまり細かいところを追求しないストーリー・テリングも観る者の想像力をかき立てる効果がありますね。脚本上どうしてもクリアできなかったおバカな部分は多々あります。だいたい猿が使っているのが英語だという時点で、テイラーはここは地球じゃないかと気づかねばなりません。そりゃ広大な宇宙では生命体が存在する地球に酷似した天体があるでしょうけど、使われている言語まで一緒だなんてさすがにあり得ないです。洞窟の中で人形や眼鏡まで発見しているのに「これは地球の文明に良く似ている」なんて講釈たれるところなぞ、もうコントみたいな感じですよね。まあそこら辺はいきなり人間と猿が逆転している世界にほうり込まれたら、普通の人なら混乱して冷静な思考が出来なくなるだろうからということで、大目に見ておきましょう。 原作者ピエール・ブールの日本軍による捕虜体験(どうもこれはウソみたいです)をカリカチュアしたストーリーだと解釈する向きがありますが、猿の文明における進化論が出てくるところなど観ても、私には製作当時のアメリカ社会に対する風刺が色濃い脚本じゃないかと思います。あまりによく出来たプロットなので、色んな時代や社会の暗喩として捉えることができるのは、まさにこの映画の偉大なところでしょう。