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<ネタバレ>ブラッドリー・クーパーの役作りのレベルが凄いですね。肩幅や胸板なんて今までの倍ぐらいの様な気がするぐらいです。しかもそれが脂肪太りじゃなくてしっかり筋肉つけているわけで、まさかCG使ってるわけじゃないんでしょうけど骨格まで変えてしまったかのように見える凄まじい肉体改造です。 『許されざる者』ですっかり悟りの境地に達したイーストウッド、この映画で訴えたかったのはただひとつ「人殺しは地獄だ」ということです。どう考えてみてもアメリカには「殺人には善い人殺しと悪い人殺しがある」という深層心理的な価値観が西部開拓時代から存在している様に思えてなりません。国の為だろうが正当防衛だろうが人の生命を奪うことには変わりはなく、人はその現実と折り合いをつけないとやっていけないものなんだと思います。戦争の勝者や強者に属する軍人は得てしてその折り合いに無頓着なことが多く、とくにアメリカにはその傾向が強い様な気がします。その辺りにも本作ではイーストウッドは鋭く切り込んでいて、スクリーン上で数え切れないほど人を殺めてきた彼らしい感じがします。 いくら伝説の男と言っても実在のクリス・カイルという人は娑婆にいたときはごく平凡な人間だったわけで、戦場以外では大したエピソードもない淡々とした描かれ方です。彼が軍に志願するに至る経緯も日本人にはピンと来ないところがありますが、まあアメリカ人には理解できるんでしょうね、あまりに単純すぎると自分は感じてしまいますけど。しかし子供にまで武器を持たせて戦わせて死に追いやってしまうという現実、世界は決して平和じゃないし綺麗ごとが通用しないということは思い知らされました。