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<ネタバレ>時々ウディ・アレンの初監督作として紹介されているのを見かける本作ですが、アレンの初監督作はあくまで"What's Up, Tiger Lily?"ですからね(きっぱり)。日本じゃ絶対に観ることのできない彼の黒歴史である"What's Up, Tiger Lily?"よりも、中編ながらもちゃんと劇映画として製作された本作は実質的には初監督作として認定してあげてもいい様な気もしますがね。 巷では初期アレン映画の最高作は『スリーパー』ということになっていますが、いや違う!私は『泥棒野郎』だと断言しちゃいます。驚くことに、アレンはこの第一作から早くもいわゆるモキュメンタリ―的なストーリーテリングで脚本を書いているんですね。この手法は後に『カメレオンマン』などにも使われているアレンの得意技ですが、60年代というとひょっとしてモキュメンタリーの始祖はアレンなのかもしれません。内容はスタンダップ・コメディアン時代からのナンセンス・ネタがてんこ盛り。傑作“メモを渡して銀行強盗”のネタはあまりにも有名ですけど、個人的には“何度も踏みつぶされるアレンの眼鏡”ネタもお好みです。音楽担当がマーヴィン・ハムリッシュだというところは、ノスタルジック・ジャズの名曲ばかり使う後のアレン映画とは違った雰囲気になっています。ヒロインもその後一度もアレン映画に出ていない無名女優ですが、いまいち掴みどころのないキャラですけどキュートで良かったです。思うにアレンのコメディはダイアン・キートンと組むようになってから変化したわけで、ナンセンス・ギャグがキレまくる『スリーパー』までの初期アレン・コメディは今となっては貴重なのかもしれません。