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<ネタバレ>いやあ笑った笑った、今年観た映画でいちばん笑わせてくれたかもしれないです。昭和バブル期の邦画は不作だったという見方が強いが、探せばこういうお宝がまだまだ埋もれているんですよね。『狼たちの午後』を彷彿される銀行強盗かと思いきや、モッくんが人質に発砲する緊迫のシーン、それがなんと「バンッ」という口鉄砲、これは金融機関の協力のもとで行われた防犯訓練だったんですね。そこから始まるモッくんの大暴走、このころの本木雅弘は真面目でクールだが内に狂気を秘めたキャラを演じさせたらピカイチで、警官らしい丁寧な言葉遣いに終始するけど観てる方はいつキレるかとハラハラさせる緊張感が堪りません。対する警察側の各キャラも一人一人のキャラが立っていて、石橋蓮司の小役人ぶり丸出しの所轄署長が傑作でした。それでもほとんど怪演といえるレベルだった萩原流行がいちばん強烈で、劇中でほとんど瞬きしてなかったんじゃないかというガンギマリ演技です。あんなに長時間にわたって行員たちがバカバカしい訓練に付き合うというところは、もう一種の不条理劇のレベルに達していたと思います。“死体”の張り紙も笑ったけど、“レイプ”“空気”はもう最高でした。舞台となる金融機関は“平商工信用組合”となっていましたが驚くことに(現在も存続しているかは不明ですが)実在の金融機関で、さすが昭和の映画、現在ではこんなこと絶対にできないと断言しちゃいます。こんな傑作な作品の知名度が低いというのは、私には本当に解せないところです。