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本作は私たちの世代には観たくても観られない“幻の映画”だった時期が長かったのです。封切時に観た友人がいて、彼の持っていたテアトル東京の名が入ったプログラムが宝物みたいでとても羨ましかったものです。ぴあの『もあテン』がきっかけになって再上映を求める運動が起きたことは今や伝説ですが、ついにリバイバルされたときはもちろんテアトル東京に駆けつけました。 最初の20分はセリフがまったくなくて(そりゃ猿人しか出てこないんだから当然ですよね)、この映画まさか全篇セリフがないんじゃないかとちょっと心配になりました。そして上映終了、場内が明るくなると満員の観客の8割が首をひねって「訳わからん」という表情だったのを鮮明に憶えています。でも不思議なんですけど、初見の時からこの作品を難解だと思ったことは一度もないんです。何と言うか、キューブリックのイマジネーションが、自分が何となく宇宙や地球外知的生命体そして神について感じていたことにひとつの解答を与えてくれたような気がしたからでしょう。 映画史には、その作品が登場したことによって映画の概念を変えてしまったオーパーツのような特別な映画がありますが、『2001年宇宙の旅』はその筆頭でしょう。[良:2票]