<ネタバレ>昭和ガメラ・シリーズの中では文句なしの最高傑作、というか思わ .. >(続きを読む)
<ネタバレ>昭和ガメラ・シリーズの中では文句なしの最高傑作、というか思わず「どうしちゃったの?」と訊きたくなるほど他のガメラとはタッチが違い、それは東宝の『フランケンシュタイン』2作に負けないグル―ビーさです。「ガメラと言えば子ども(というかガキ)」がお約束なのに、本作ではエキストラ・クラスまで観ても子供が全然画面に登場しません。その分関西を舞台にしてるだけあってコッテコテの欲まみれ男ばっかり登場してくるのですが、これはこれで観ててちょっと鬱陶しい感じです。あと気がついたのは、ガメラ映画ではやたらとナレーションが多いんですよ、東宝の怪獣映画は対照的にナレーションはほとんど皆無です。これはきっと本田猪四郎の拘りなんでしょうね。 バルゴンはニューギニアが産地ということですが、戦時中にニューギニア戦線に従軍した兵士がその卵を見つけたというのは、なんか有りそうなお話しの様で掴みはGoodです。たしかにあれはオパールと間違えても不思議じゃないです、まさかトカゲの卵とは誰も気がつかないでしょう。約40年ぶりに観直したのですが、バルゴンの造形は思いのほか良く出来ています。またこの映画ではローアングルからバルゴンを撮ることに拘っていて、怪獣としての重々しさが良く表現されていたと思います。でも「水に浸かると皮膚が溶ける」という弱点は致命的で、色んな奇天烈な武器も持あってますけど昭和の怪獣の中ではいちばん弱いかもしれません。なんせ人工雨を浴びせられるだけで中盤からはほとんど動けなくなってしまいますからねえ。これならもう少し頑張れば、ガメラに頼らなくても自衛隊が史上初めて怪獣を退治する快挙が達成できたかもしれません。 この様に本作はバルゴンと欲深男たちの物語で、実はガメラは脇役なんです。冒頭こそ派手にダムバスターしてくれますけどすぐにどっかに飛んで行ってしまい、中盤になってやっとバルゴンのいる大阪に登場します、しかも唐突に。でもすぐ冷凍液で凍らせられてお休み、ラスト10分を切ったところで再登場。自分の発した光線で自爆し瀕死の重傷を負ったバルゴンを咥えて琵琶湖に引きずり込んで息の根を止める、良く考えるとガメラがスクリーンに登場するのは30分弱しかないんです。 でもなんでガメラはバルゴンが水に弱いって知っていたんでしょうか?これも怪獣映画でお馴染みの便利なフレーズ「動物の本能」ってやつでしょうかね。