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<ネタバレ>東宝創立35周年記念大作!五年前の30周年は『キングコング対ゴジラ』、東宝特撮どんだけキングコングが好きなんでしょうか。 どうも本作は同年に放送されたアニメ版『キングコング』シリーズとコラボレーションなのか共通点が多く、アニメ版も実は日米合作で東映動画が製作しています。設定はもちろん違うけど、悪役はドクター・フーでヒロインはスーザンが名前というのも被ってます。そして今までのキングコングのイメージを一新するような人間の味方的なキャラ付けになっているのも両者の特徴。 コングの造形は、『キンゴジ』に比べれば体型がオリジナル・コングに近くなっているけど、よく見れば顔は相変わらず不細工です。特に眼つきがヘンで、視線がどこに向いているのか判りにくいのがなんかおかしい。でも敵役のメカニコングは東宝特撮に登場するロボット怪獣ではピカイチの造形美、コングの特徴を巧みにメタル化させた秀逸なデザインじゃないでしょうか。メカニコングは『地球防衛軍』のモゲラと同様の土木作業用ロボットという設定、本格的な敵役ロボット怪獣はメカゴジラまでいなかったんですね。モンド島のやられ役は、大ウミヘビは別にして、ゴロザウルスはCG登場以前の恐竜造形としては出色の出来栄え、ハリウッドのストップモーション恐竜も負けてるんじゃないかな。「怪獣の流血を見せたくない」という円谷英二の拘りで泡を吹くゴロザウルスの断末魔になったのは割と有名なエピソードですが、同時期のガメラ・シリーズが“怪獣スプラッター映画”化しているのと比べてみると東宝と大映の製作カラーの違いを感じさせられます。体長20メートルのコングに合わせた縮尺のミニチュアセットは東宝特撮の絶頂期だけあって完成度は高いですけど、一部に過去作の特撮カットが挿入されていたのはちょっと残念でした。 本編はこれまたユニークな脚本で、“南海の王者”のはずのコングを北極に連れてくるという発想には驚き。そしてドクター・フーの組織が巨額の資金を投じてメカニコングまで製作してシャカリキになっているのが鉱物採掘と言うのが、なんかぶっ飛んでますね。メカニが役立たないから本家コングを拉致してくるという発想ですが、これじゃブラック企業でこき使われる社員じゃないですか。だいいち、なんで北極に大地があるの?(アラスカかシベリアの北極圏というなら判らんでもないが) 本編での見せ場はやはり浜美枝のマダム・ピラニアということでしょうね。彼女は『キンゴジ』でもヒロインだったし、東宝には“浜美枝=キングコング”という方程式でもあるんでしょうかね(笑)。登場シーンの衣装はすべて違うし、北極アジトの中にラウンジ風自室を作らせてカクテルドレスを纏って色仕掛け、『二度死ぬ』なんかよりずっとボンド・ガールぽかったです。それにしても彼女、どこの国の工作員だったのでしょうか。「中国・タイ・ヴェトナム・ビルマ、そのどこの国でもないね」というドクター・フーのセリフがありましたが、まさか北朝鮮?