<ネタバレ>これほど地味で暗いレジスタンス映画は観たことがないというのが .. >(続きを読む)
<ネタバレ>これほど地味で暗いレジスタンス映画は観たことがないというのが素直な感想です。派手な破壊工作や戦闘場面はほとんど皆無だし、ゲシュタポに囚われた者たちも拷問されるところは見せずに、終わってボコボコになった顔の姿を見せるだけ。仲間を救出しようと救急車を仕立てて監獄に乗り込んでゆくシークエンスなんかでも、これから派手な見せ場が来るぞと期待するのに、瀕死の同志を救い出せずにすごすごと退却してしまう、これは観ていてサプライズでしたね。リノ・ヴァンチュラたちが属するのはいわゆる自由フランス・ドゴール派の組織なので、共産党系の組織・マキ団の様な派手な武力行使が少なかったからなのかもしれませんが、まるでスパイ組織のお話しみたいです。劇中では殺したドイツ兵よりも密告者を粛清した人数の方がどう見ても多い、こりゃ話が盛り上がらないわけです。でも原作者も監督ジャン=ピエール・メルヴィルも戦時中に実際にレジスタンス活動をしていたわけで、きっとこれがリアルでしょうね。戦後フランスではレジスタンス活動は神話化されていたわけで、この映画はそのタブーを無言で批判する様な意図があったのかもしれません。 レジスタンス側のフランス人は全員フランス解放まで生き残れなかったという壮絶な結末、まさにフレンチ・ノワールの巨匠メルヴィルだからこそ撮れたストーリーだったと思います。