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<ネタバレ>衝撃的な原作小説を過激に映像化しました、感じでしょうか。50年代のアメリカ中西部の田舎町が舞台で、人種問題やフェミニズムを背景にしているのですが、原作の持ち味を活かした人物造形は上手いと思いました。先生を犯す黒人青年が白人からも黒人仲間からも忌み嫌われるクズ野郎と言うのが面白いところです。邦画で良く観られる「社会的弱者=善」という単純極まりない図式じゃないところが気に入ったし、アカ狩りから助けてやった同僚教師(まあこいつは見るからに軟弱な奴だから想像付きましたが)や最初に診察してもらった高校の同級生だった医師まで自己保身にはしってワイコフ先生を見捨てるとところが生々しい。でもこの先生がやったことはさすがに現代の日本でもばれたらクビになってもおかしくないことなので、彼女にもあまり感情移入できないですね。いくらなんでも学校内でヤルのはまずいでしょう。たしかに自殺を思いとどまって薬を投げ捨てるラストはちょっと希望の光が見えましたが、とにかく後味の悪さが残るのは否めないですね。 下宿の女主人を演じているのはマーロン・ブランドの実姉のジョスリン・ブランドなんですが、彼女の前で下宿人の女教師たちが『欲望という名の電車』を観に行く話をして「マーロン・ブランドってセクシー❤」と女子トークするシーンが冒頭にあります。それを聞いて「なんてけがらわしいこと!」と彼女のご主人は怒るのですが、彼女は意に介さず一緒に観に行ってしまいます。この楽屋オチは笑うところでしょ。