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<ネタバレ>タイトルは新東宝エログロ映画の中でも1・2を争うインパクトですけど、これが観てみると“フーダニット”を真面目に追求したミステリーになっているんです。そして特筆すべきことは、憲兵がヒーローで正義の味方というプロットは数ある日本映画の中でも本作が唯一なんじゃないでしょうか。戦後日本では東条英機の憲兵政治のおかげで“憲兵=ゲシュタポ”という図式が定着してますが、憲兵は本来は軍隊内の警察なのでこういう兵士の犯罪捜査が普段の業務だったはずです。原作者はどうも元憲兵だったそうで、どうりで憲兵組織の描写がリアルに感じるわけです。 監督が時代劇畑の人なのでストーリー進行が多少もっさりしてまるで戦前の映画を観てる様な感じですが、猟奇的なところやロマンスの部分などとのバランスが良くて手堅い手腕です。DNA鑑定が当たり前に行われている現代から見ると胴体と頭蓋骨があるのになんでこんなに身元確定に手こずるんだろうとイラつきますが、主人公が歯の治療跡から身元を特定させるまでのプロセスはなかなか良く撮れてます。 物資を横流ししてただけなのに殺人容疑をかけられて拷問されまくる天地茂はちょっと哀れでした。でもこの映画でいちばんグロかったところはバラバラ死美人じゃなくて、強烈な屍臭がする井戸水で炊いたご飯を新兵たちが無理矢理喰わされるところです。これは観ててきつかった。