<ネタバレ>“何も起こらない映画”の名手ジム・ジャームッシュ、初期作には .. >(続きを読む)
<ネタバレ>“何も起こらない映画”の名手ジム・ジャームッシュ、初期作にはそんな称号が相応しかった作風が“大した事じゃないけど何かが起こる”風に変わってきた中期の作品です。メンフィスのホテルに泊まった三組の登場人物たちの一夜の体験を時系列をずらして群像劇として見せるというのはもうジャームッシュ版の『パルプフィクション』ですけど、タランティーノが撮る五年も前の映画なんですよね、これはタランティーノがパク…いや多大なる影響を受けたと言っても過言じゃないでしょ。バブル全盛期だった日本からJVCが出資したので永瀬正敏と工藤夕貴がキャスティングされたのかもしれませんが、二人は日本語で演技して他のアメリカ人俳優とはほとんど絡みはないけど、なんか二人のセリフ回しが(とくに工藤夕貴)拙く聞こえちゃうんだよな。やっぱ外国人を起用してその母国語で演技させると、監督には外国語なのでセリフ回しのニュアンスあたりには理解が及ぼないんだろうな。二人はしっかりエッチまでしてくれるけど、工藤がタバコを吸って永瀬に口づけしてその紫煙を長瀬が吸い取って吐き出すところは他に観たことない斬新なシーンでした。さすが『コーヒー&シガレッツ』のジャームッシュ、タバコに関しては拘りがありますね。二話目でニコレッタ・ブラスキにインチキなエルヴィス怪談で怖がらせてケチな寸借詐欺を仕掛けるトム・ヌーナン、なんせあのトム・ヌーナンですから怪談噺よりお前の存在自体がよっぽど怖いわ(笑)。そして三話目のスティーヴ・ブシェミたちの酔っ払いトリオの愚行には笑わせていただきました、こういうシチュエーションを演じさせたらスティーヴ・ブシェミはやはりピカイチです。 ①ホテルの宿泊代が一部屋22ドル②ジョー・ストラマーが酒屋で注文した酒代が22ドル③そして三人がホテルで割り当てられた部屋が22号室、この映画ではやたらと“22”という数字が出てくるんですよ、こういう拘りというか遊びがちりばめられているところがジャームッシュらしいところなんです、まあ意味不明ですけどね。あと、メンフィスからローマへの直行便は有りません、この人は『ストレンジャー・ザン・パラダイス』でもフロリダの田舎空港からブダペスト行きの直行便を飛ばした前科がありましたっけね(笑)。