<ネタバレ>説明過多でないところが私は良かった。説明で深みがでるとは限ら .. >(続きを読む)
<ネタバレ>説明過多でないところが私は良かった。説明で深みがでるとは限らないし。「子供が産まれない世界」が描かれているが、別の絶望なら現代にも溢れている。「石油の枯渇」「食料危機」などが原因でいつかやってくる未来かもしれない。恐怖と絶望がへばりついた日常生活は現代のイスラエル・パレスチナのようだった。難民のシーンなどすごく似ている(だから英国が舞台?)世界を覆う絶望感が画面から伝わってくる。個人の苦しみなど狂った世界では塵と同じ。その社会の無感情さが恐ろしい。「希望=赤ん坊」のように描かれているが、単に「象徴」だと思う。人それぞれに「希望」がある。「希望」を失った人間は平気で殺し合う。が、希望は苦しいものでもある。赤ん坊を助けた人がついてこなかったり、赤ん坊がいなくなった途端に銃撃戦が再開するのは、再び希望をもつのが怖いからではないか?私はこの映画は『「生きる」は大切だが、どう生きてどう死ぬかも大切』と言っているような気がした。世界観の表現や脚本、演出も見事だったが「赤ん坊=救世主」「トゥモロー号=シオンの山」を連想させるのは微妙。セオが何度も「大丈夫」と言うのは「信じる者だけが救われる」から?「処女ではない」台詞があるのは否定の意味かもしれないが、どうしても宗教色が見えてしまう。違うアプローチにして欲しかった。