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<ネタバレ>原作は未読なのでこの作品から受けた印象のみになってしまうのですが、あそこまでの大芝居が打てるなら福祉局に裏から手を回すとか、母親本人を逮捕するのが忍びないなら薬物中毒を更正する病院へ無理やり送り込むとか、友人や恋人崩れを片っ端から逮捕して引き離すとか、違法覚悟で小さな女の子を最悪の環境から救い出す方法は他にいくらでもあったはず。関わった人々全てが子供のためだったと懸命に訴えるのだけれど、どこかが、何かが違う。それは結局、大人の事情というか余計な欲や救いようのない過去が絡んで来るからなのでしょう。そして大ドンデン返しを前提に練られたプロットのせいでもあるのかな。
この複雑さが原作ではもう少し深く描写されているのでしょうか?どうしようもない母親の存在や生活環境のリアルさが、逆に後半で展開される真相の不自然さを強調しているようにも思えました。
ただ、どれだけ話の強引さを分析してみても、苦くて辛い。アマンダがあれぐらいの大きさだったら自分の身に何が起こったのか少なからず覚えているだろうし、もっと成長すれば事件のことを知ってしまう。寝る前にお話を聞かせてくれたライオネル伯父さんが刑務所へ行った理由も、サンドイッチを作ってくれたドイルさんが刑務所へ行った理由も、自分のせいではないとは言え事件に関わったレミー刑事が死んだということも知ってしまう。その時、あの母親は支えてくれるのでしょうか。つまり真剣にアマンダの未来を心配してしまうくらい、入れ込んで観てしまったということです。これで初監督作品なんて本当に凄いなー。大人達の選択の重さがいつまでも胸に圧し掛かります。
あまりの言動に呆然とさせられた母親役エイミー・ライアンの演技も凄まじいの一言です。リアルにいそうな感じが怖かった。[良:3票]