<ネタバレ>なかなか深いですねぇ。たとえばこんな見方ができるかも。
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<ネタバレ>なかなか深いですねぇ。たとえばこんな見方ができるかも。
前々作が封切られた1995年は、阪神・淡路大震災が起こった年でした。しかも震災発生から2ヶ月足らずという、まだまだ記憶に新しい時機での公開。製作側としてはそれに対して思うところがあり、それが本作に表れたような気がします。
もともと怪獣というのは、自然にたとえられることがあります。このシリーズでのガメラは人工的に作り出されたもののようですが、時として人間の味方となり、恵みをもたらすかと思えば、大きな災害を引き起こすこともあるというのは、自然そのものでしょう。そして人間は、荒ぶる自然に打たれたとしても、ふたたび立ち上がろうとする、生きることをあきらめない。龍成君がイリスに立ち向かったのも、その行為自体が重要なのであって、結果は二の次なのでしょう。怪獣映画といえば「破壊」がモチーフですが、その点本作では、逆に建設的な未来志向が根底に流れているようです。
というのはもちろんひとつの側面で、これ以外にも「怪獣よりも、それを作り出した人間の方が恐ろしい」という古典的なテーマや、心を閉ざした少女と「世界」との関わりなどが扱われ、それらを(かなり力業ながら)一応それらしくまとめてしまったところは評価できます。が、一方で浅倉・倉田の存在が完全に浮いてしまっていて(そもそもどういう人物なのか詳細不明という、このシリーズらしからぬ不明瞭さ)、ストーリー的には持って回ったような部分もあり、明快さに欠けます。ただし明快さに欠けるのが、狙いだとも思えますが……。あと、仲間由紀恵の場面は、申し訳ないけどギャグにしか見えません。というかあそこは、『ジョーズ』のパロディのつもりなんでしょうか。
ガメラとイリスの戦いは、空中戦はよいものの、地上に降りてからはちょっと地味。これも、怪獣の戦い自体が眼目ではないといえば言えるんですが。渋谷でのギャオスとの戦いは、非常によくできていました。(しかしこれ、どう考えても「冒頭」に出てこないでしょう。このシーンを「冒頭」と書いている人が多いようですが、「冒頭」の意味をわかって使ってるんでしょうか。)
そんなこんなで、全体の印象としては今一歩ですが、見終わってからあれこれ考えさせるという点では、シリーズ随一。いちばんの「問題作」かもしれません。