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<ネタバレ>木村恵吾脚本・監督の、“元祖”狸御殿シリーズ。しかしコレ、どうもミュージカルというよりは、レヴューに近いですね。一応ストーリーはありますが、特にどうってことないですし(もちろん、つまらないとは言っていない)。一番メインに思えたのが、狸吉郎さんがやってきて国を挙げて歌い踊るちょっと長めの場面。全国各地の民謡をアレンジし、きれいどころのお姫様がとっかえひっかえ登場して(中村玉緒もいた)、聞いて楽しく見て楽しい。物語中心のドラマを期待するとちょっと違う気もするのですが、これはこれで見ものでした。でもそのおかげで、市川雷蔵もたいした芝居をしていないのですが。根本的には「お祭り騒ぎ」なんですね。
ドラマ部分としては、若尾文子の二役もよかったのですが、菅井一郎の親父狸(タヌキオヤジ?)が色々な意味で大活躍で、ほとんど主役級でした。雷蔵は単なる二枚目だし、勝新太郎も出番が多くないので、よけい目立っています。序盤はこの親父と娘の話がちょっと続き、本題になかなか入らないのが難点か。しかし単純に楽しめる作で、何も考えずに見るにはいいと思います。まあ木村監督以下スタッフは、単に「楽しい映画」を作ろうとしただけで、アホな作品を作る気なんて毛頭なかったと思いますが。
戦前の『歌ふ狸御殿』と比べると、音階になっている階段とか、羽根つきの場面が共通しています。ああいうところがこの監督の趣味のようです。