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<ネタバレ> 人間の最も代表的なレッテルである「顔」の持つ意味を問いかけるセンセーショナルな作品。
顔を失って狂気的な懐疑心に苛まれている患者と他人の顔を与える実験をする狂気的な精神科医との間でかわされる会話によって、現実離れした視察室の造形や映像表現を駆使して、見事にレッテルで人を判断し個々を識別する社会の不条理を問題提起している。
そして、その後行われる実験、その顛末によって、一つの答えを導き出している。
兄妹のサイドストーリーも、観るものに色々な意味を投げかけている。
自分にはレッテルと本質があると思い込んでも、他人から見ればそれがどちらであるかわかるはずもなく、レッテルが人間関係の全てである。すなわち、自分の本質というものは社会の中では意味がなく、レッテルこそが社会の中で認識される自分である。レッテルを張り替えることによって、様々な自分を作ることができるが、自分の本質に固執すれば帰着するところは孤独でしかない。
娯楽の部分は皆無であるが、人間の本質に迫る深層心理を見事に表現しており、非常に見ごたえのある作品となっている。
ただし、精神的に疲れてる時に見ると相当落ち込むかも。