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<ネタバレ>近年のアメコミの映画化作品はほぼ網羅してきましたが、そんな中でもオールタイムベストの作品です。オタク少年が瀕死の重症を負い無敵のヒーローに生まれ変わるのかと思いきや、これは真の主人公を引き立てるための前フリ。強さとカッコ良さの片鱗もない「キックアス」で中だるみ感が最高潮になるタイミングと共に、ヒットガールとビッグダディが登場し一気に物語が加速します。アメコミにおけるヒーローの役割と自問自答は「キックアス」が引き受け、強さとカッコよさはヒットガールが担うことでメリハリがつき、過去のヒーローものへのリスペクトもそこかしこに見られ、映画館の大画面でビッグマックを頬張りながら鑑賞するのに最適な作品です。何よりの魅力はヒットガール。子供が蟻やバッタの足を抜いて遊ぶのと同じように悪人を撃ち、斬り、倒してゆくシーンで受ける爽快感が、他の「成人ヒーロー」とは明らかに異なるのは、超人的な戦闘能力を持つ少女という設定からでしょう。典型的なヒーローは、戦闘能力を持ってしまったがゆえの苦悩を持ち、明確な殺意で敵と対峙するというのがお約束ですが、ヒットガールには戦闘能力はあっても殺意とそれにまつわる苦悩が皆無です。ヒットガールを養成した父親がそれらの苦悩を担い、父の武器(父の戦闘能力も高いですが、苦悩するヒーローとしてバットマンに似せた姿で登場するのが興味深いです)として遺憾なく戦闘能力を発揮する存在になっているのです。ヒットガールにとっての「出動」は、父によって徹底的に仕込まれた身体能力を発揮する運動会のようなものでしょう。続編が製作されるそうですが、父を亡くした後、ヒットガールがいかに苦悩しながら更にアップしたであろう戦闘能力を発揮するのを観るのが楽しみである反面、ただ苦悩する普通のヒーローモノに成り下がってしまうのは避けて欲しいですね。[良:3票]