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<ネタバレ> マネーモンスター。誰かを象徴している言葉かと思いきや、まさかの番組名。苦手な投資系社会派サスペンスかと思ったら全然違いました。いや、そうなんですけど、違いました。
要は上場企業アイビスの社長が会社の8億ドルを横領。アフリカの鉱山ストで暴落した鉱山株をその8億ドルで購入。鉱山ストのリーダー『マンバ』を買収。元の値まで鉱山株が戻ったら購入した株を売却。ところがマンバが買収に応じなかったためさあ大変。8億ドルは為替取引のコンピューターのバグにより生じた会社の損失ということにしてしまおう。というお話。
でも真相がわかるのは最後のほう。真相がわかるまでは、全財産をアイビスに投資した結果破産した若者が、アイビス株を推していた投資番組『マネーモンスター』とアイビスを逆恨みしてテレビ局を乗っ取るという、逆恨みドラマにしか見えません。しだいに司会者のリーが犯人に同情的になっていくのもストックホルム症候群みたいなもんだろうと。
それはそれで面白いんですが、『いや、何やら裏がありそうだ』と物語が真相を追い始めてから更に面白い。真相が明らかになるにつれ、まじで若者悪くないじゃん、ってのがわかってくるわけです。自動株取引かなんかのためのアルゴリズムを作ったエンジニアが、『このプログラミングでは8億ドルの損失が出るまで取引をすることは絶対にない』って電話で言うシーンがゾクゾクします。純粋にこの企業の株が下がったのであれば自己責任。ですが今回は明らかに人為的で社長の私欲による損失。つまり、番組の予想もそれに乗っかった若者も正しかった。実際は被ることのなかった損失を被ったわけです。
まあ映画はわかりやすいのですが、何やら専門的な単語の数々で若干煙に巻くような感じがしないでもない。しかも断片的な情報ばかりで、多少のわかりづらさがやはりマイナス。
でも全部理解できていなくても、なんとなくで楽しめちゃうストーリー展開とわかりやすすぎるキャラ造形は良し。
後味は良くはないですね。