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<ネタバレ>一寸先も見えない位真っ黒黒、強烈にブラックな喜劇。今日の核拡散の情勢を鑑みれば洒落にならないんだけど、次々繰り広げられる馬鹿者どもの狂気乱舞に笑わずにいられない。米国大統領に将軍、少佐に英国将校、元ナチ御用達博士とソ連大使。みんなのキャラ立ちが半端ない。うち三名を一人の役者が演っているなんて、神がかり的な人間離れした技に圧倒されるばかり。個人的に好きなのは、同士討ちになっちゃってる基地内部のやりとり。純血主義のリッパー将軍と、それをなだめすかすのに必死な英国将校。あろうことか公衆電話で小銭を調達しながら大統領に電話しなきゃならないシチュエーションの馬鹿らしさ。そこへ自販機会社に訴えられる、と主張する大佐。あーここにも馬鹿が~。さらにペンタゴンの地下では政府高官がずらりと顔を並べる中、いかにもソ連人な面構えの大使が盗撮(!)なんかして将軍と取っ組み合い。あと数分で核が落ちるんですよ?あっ、やっとつながったソ連首相、酔ってるってさ。極めつけの狂気はストレンジ・ラブ(なんて名前だ)博士、キワモノ中のキワモノ。この怪演に水を打ったように静まり返る作戦室。博士によって提示される地中の新世界構想。これがまた酒池肉林的な側面があってアヤシイことこの上ないんだけど、事ここに及んでも共産主義社会との格差を心配して声を張る馬鹿将軍。ここまでくると「もうお前ら死んでしまえっ」という気持ちになるわけで、果たしてソ連大使もそう思ったか人類滅亡スイッチをONする始末。キノコ雲にのせて「また逢いましょう」の調べが美しすぎる。なんという逆説。たらたらとあらすじ書きになってしまったけど、「こんな馬鹿みたいなことで絶滅なんてヤだろ?」とキューブリックの声を確かに聞いたような気がする私はこの映画を愛してやまないのです。[良:1票]