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<ネタバレ>伝記モノのパターンであるところの「出来事の羅列」な感は否めませんが、かなりの見応えがあるのはエディット・ピアフその人の人生が真に波乱万丈だからでしょうか。特に幼少期から下積み時代の物語は貧しく厳しく、当時のフランスの社会背景にも思いを馳せずにいられません。
スターになって以降は物語の勢いも落ちてしまうのが残念ですが、マリオンのピアフっぷりが脚本を補って余りあります。ピアフは幼い時の栄養不良のせいなのでしょうか、線が細くて小柄です。本人が憑依したかのようなマリオンは、‶若い時”から猫背で摺り足気味(特にステージ上で)を一貫して通しています。年を取ってからは(といってもまだ40代!)さらに首が前に落ちて小さくなり、ステージで立っているのも気迫でどうにか、という鬼気迫る感。
歌を通してのみ自己の存在を確認している晩年のピアフは切ないほど哀しい。稀代の歌姫を見事に再現してみせたマリオン・コティヤール、オスカーに値する演技でありました。