映像がこんなにも重量級の質感を伴う映画は、技術が進んだ現在で .. >(続きを読む)
映像がこんなにも重量級の質感を伴う映画は、技術が進んだ現在では逆に作ることが不可能になっちゃったんだろうな。煩わしい規制をなんとかクリアして都市上空でのヘリ空中戦をロケするなんかより、コンピュータ画面で加工するほうが安上がりで簡単でしょうから。だから、こういう武骨で生の手触りな映像作品にはもう永遠に出会えないのです、きっと。
だってこのブルーサンダーの雄姿、その爆音、見てごらんなさい。黒々と漆黒の夜景に浮かぶその異形。橋の下を、高層ビルの脇をすり抜けるマシンの機能美。メカマニア垂涎の完璧な美しさがここにあります。ロイ・シャイダーの、飄々とした渋い佇まいがまた合うんだ、このヘリのパイロットとして。
そして製作年から現在に至るまでの間に、映画の中でしか起こりえないと思っていたシーンが現実となってしまいました。ミサイルが貫通し、煙に包まれる高層ビル。否応無く9月の事件を思い出させるこんな描写はまずもって二度と制作されることはないでありましょうから、そういう意味でも本当にレアな映像作品です、これは。