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<ネタバレ>ジャームッシュ、この人の映画はこの人しか撮れない。そのオリジナリティあふれる手腕が鮮やかな傑作。映像はシャープな触感のモノクロ、でも人物も話も逆ベクトルにゆるゆるでシュール。今回の3人、見るからに身持ちの悪そうなDJ崩れのアーチストT.ウェイツに相変わらず茫洋としれっとしているJ・ルーリー、そしておかしな禿げ方をしている人畜無害なイタリア人のロベルト。この3人の絡みが化学作用を起こして何ともいえない味わいを醸し出す。一番呑気そうなロベルトが殺人犯と分かったときのおかしみ。食堂に入ったきり出てこないロベルト、覗いてみたら女主人と懇意になってる、この人を食ったような、そんなのありか的な脱力感。なにしろ“出来事”を深く掘り下げないのはジャームッシュの際立った個性なので、脱獄といった重要場面も物凄くカットしちゃうのだ。ああ脱力。でも心地よい。それに、ゆるい中にもセンスはおしゃれ。音楽はもとより冒頭の荒れるバーキンに向かって「靴だけは投げるな」というトムの台詞とか、ラストシーンでリス撃ちとごみ集めの体を避けるべくジャケットを交換する場面とか、私はいちいち呻ってしまいます。