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<ネタバレ>夢が叶わないことは悲しい。特に60年代を生きたサンディは残酷に夢を踏みにじられ、暴力と搾取の犠牲者。
女子同士の痛みを60年の時を超えてもひしひしと感じ取るエリーを演じるトーマシン・マッケンジーがハマり役。サンディを気遣い、暴力に対して怒りをあらわにするエリーは優しい。対をなすサンディは売れっ子アニャ・テイラー・ジョイ。目力の強い勝気な彼女は夢を叶えたいその一心でエリーとシンクロしたのかも。
アニャ、素敵でした。トップを盛った60年代のヘアスタイルが良く似合って、身体の動きも優美。主演女優二人の存在感と、血の色すら艶めかしく撮り上げた色彩の強さでこの作品は脚本の諸々の粗(殺人犯と思い込むミスリードがやや雑なことやエリーの母親の存在意義が思いのほか薄いことなど)を凌駕しました。
暴力と亡霊とでグロテスク味の強い本作だけども、エリーの彼氏のジョンが献身的な優しさを見せていて息抜きができます。エリーの不安定なメンタルパニックにけっこうな回数巻き込まれているけど彼女を見捨てないでくれている。ジョン優しいな。世の男子はこうであってほしい。「僕のおばさんもそっち系の人なんだ」がたとえ嘘でもかまわないのです。