<ネタバレ>邦画No1のハードボイルド味。情感は完ぺきに和のテイスト。抑 .. >(続きを読む)
<ネタバレ>邦画No1のハードボイルド味。情感は完ぺきに和のテイスト。抑えめの友情、仁義、淡い悲恋。良いなあ控えめなケレンみ。
剣術のレベルが超人的な市の、その技が三回ほどなのも良いです。あまりに連発されるとありがたみが減っちゃいますもんね。「見世物じゃねえや」です。
勝新の市は文字通り唯一無二のキャラクター。親分には(一応)へりくだりつつ、腹の中では高く買っちゃいない。そのトボけ具合と真人間としての気骨。この役をその後も誰一人ものにできていないのもむべなるかな。
天地茂の愁いを帯びた平手の存在感もおたね役の万里の美貌も、組の下っ端らのこすっからさも皆その役柄にピースのようにぴたりとハマる。観ていて快感です。
江戸の町がリアルに感じられる美術も撮影も素晴らしいと思いました。夜道は闇が深いし、人物が提灯を手渡す気遣いをしょっちゅう見せるところに日常の考証の行き届きを感じます。乱闘の際は貧しい町民の家屋の壁戸がばりばりと破られたり。市がおたねを避けて街道の脇の小高い藪の中を行くラストシーン。上から小さい彼女を見下ろした画がほんとに‶土の道だけ”で、確かに往時は馬や人が通るだけの、土ぼこりの舞うそこが街道だったのだろうなあとそんなことを思いました。