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<ネタバレ>同監督作『ハイテンション』の様な恐怖演出や、目を覆いたくなるえげつない惨殺シーンははっきり言ってないですが、映画自体の雰囲気はこちらの方が圧倒的に高い。OPの放射能調査の職員たちを虫けらの様にツルハシで殺し、車で引きずっていくシーンからのタイトルロールへの移行が素晴らしい。夜のシーンよりも明るい太陽と青空の下でのシーンが、『悪魔のいけにえ』の様にうだる暑さを伝え、起こる出来事がより不条理に見え、感じさせる。窓から射し込む日の光や砂ぼこり、影を使った陰影など撮影も上手く、タイヤをパンクさせるトゲの仕掛け、トレーラーを照らす反射する光、崖の上から覗き見る人影、そして双眼鏡で一家(獲物)を眺める視点など、得体の知れない何かが忍び寄る不穏な演出が冴える。トレーラーで初めて一家を襲うシーンは怖さよりも気分が悪くなる程の不快感と容赦の無い絶望感に襲われる。(リンに銃を向け、こめかみを撃つシーンはアンレイテッド版でより残虐)後半の斧を持った男との一騎打ちは本作の見所の一つですが、突き刺されたバットの木片を引き抜いてダグを殴り倒した後、バットを捨てるシーンがスローがかって中々粋でカッコいい演出。振り下ろされる斧で指がキレイに切断されずにそっくり返るトコロなんかは流石アジャ監督です。ショットガンを持った頭を器具で固定している男のビジュアルもインパクト大。ダクが斧で仕留めた後、傷ついた体でメガネを拾い、ゆっくり掛けるその穏やかな表情が心境をものがたり、彼ら食人鬼と人間の心を失っていないダグとの差なんですね。人に勧めても中々良い返事は期待出来そうにないかもしれないですが、僕には高評価の作品です。 それからダグ役のアーロン・スタンフォード。非常に良い演技でしたが、この人、X-メン2とファイナルディシジョンのパイロだとは信じられない位の見事な老けっぷりでした。 復讐ではあるが、秘められた人の残虐性が上手く浮き彫りにされている。やはり本当に恐ろしいのは、霊でも超常現象でもない、「人間」そのものと言う事か。[良:1票]