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<ネタバレ>映画としての面白さは十分にあると思います。良く出来た脚本、構成、演出でニーマンとフレッチャー教授の2人の性格、心理を観客に植え付け、ラストのあの演奏会に持って行くんだから。僕個人はフレッチャー教授の心理は分からない。あの演奏の罠の後、ニーマンが反旗を翻す事まで読んでいたと言うのは考え過ぎだろうし。ただ、演出でも語られている様に、ニーマンは遂に到達したのだという事、フレッチャー教授は遂に見出したのだという事、この解釈でいいのだと思います。だとしたらこのラストは2人には望んだラストであり、バッドエンドとは言えないでしょう。フレッチャー教授の教育は明らかに演出的に行き過ぎなのを強調していて、これが正しいのか間違いなのか、『天才』を生み出す為の厳しさの肯定とか、現実は甘くないんだよ、とか、そういう事は映画の外の事で、あのあり得ない(恐らく)理不尽なしごきに耐えて食いついて来るニーマンの姿に感情移入してしまう。ニーマンは負けず嫌いで自信過剰なところもあるが、文字通り血の滲む練習、努力はしてきた。なのに報われずに遂にはブチ切れて教授に飛びかかってしまうが、僕はこのシーンで最高に腹の底が熱くなり、胸が高鳴った。単純に見てフレッチャー教授は悪役、そしてラストでニーマンが勝利する。ニーマンの負けず嫌いがラストの完璧な『caravan』を披露し、笑顔で終わる。僕的には「ザマァ見ろ!」なラスト。人それぞれにある『人生』を『ジャズプレイヤーの視点』に置き換えて語られた作品。そして間違いの無い唯一のものがある。『努力』 それは決して人を裏切らない。「努力しても…。」なんて事もあるかもしれないけど、この映画はそれを教えてくれる良い作品だと思います。[良:2票]