<ネタバレ>役所広司が素晴らしい。普段の三上の顔があまりに善人過ぎて、殺 .. >(続きを読む)
<ネタバレ>役所広司が素晴らしい。普段の三上の顔があまりに善人過ぎて、殺人犯という過去とのギャップが大きすぎるのではないかと、実は予告で見た時から思っていた。
ところが冒頭の刑務所での、今でも無実だと思っている、というセリフのところでドキッとさせられ、その後町のチンピラとの数度のトラブルの時や、スーパー店長に対して切れて怒り出すシーンなどでの豹変具合は、三上という人物像にとても説得力を与えるものだった。これらのシーンでは、彼の精神面の未成熟さもよく表現できていたと思う。そう、三上氏は、根っからの悪人というよりは、我慢を知らずに育った大きな子供だった。だから笑っているときは憎めない。
それを知る三上の周りの少なからぬ人々が、道を失いそうになった彼を何とか引き留めようと、見捨てずに手を差し伸べつづける。ラストで彼は思わぬ形で寂しく生涯を閉じるが、しかし堅気として死ぬことができた。よかったね、とさえ言えるラストだった。感涙。