<ネタバレ>昨今の邦画業界の商業主義に走るあまり、観客に迎合したような、 .. >(続きを読む)
<ネタバレ>昨今の邦画業界の商業主義に走るあまり、観客に迎合したような、昔のアニメとかドラマとかをCG満載にリメイクしてお父さんもお母さんも子供たちも楽しめて、そしてそれでは飽き足らずジャニーズのアイドルを多用したので若い女の子たちも楽しんでくださいね的な、観客に媚びまくったような軟弱な体たらくぶりに正面から挑戦するような、中島哲也監督の猛毒エンターテイメント。もう、その一本、筋が通ったような彼の信念は大好きです。人間の悪意や偽善、そして集団心理のとてつもない残虐性といった、深くて重たいテーマを扱いながら、ちゃんとエンタメ映画として一級品の作品に仕上がっているところは、本当に素晴らしい。思春期の少年少女たちの誰もが孕む、少しでも触れたら壊れてしまいそうな狂気の世界を陰鬱に、そして美しく描きながら、最後はそんな身勝手な子供たちに、松たか子演じる教師が全ての大人の代表として鉄槌を下す。「なーんてね」なんていう中2病的な逃げが、どれだけ卑怯かを分からせるために……。冒頭の、牛乳パックが転がって中身が零れるシーンから、そんな素晴らしいラストまでぞくぞくするような緊張感が一切途切れない、中島哲也監督の傑作。