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<ネタバレ>90年代初頭に起きた、アイススケート現役オリンピック選手によるライバル・スケーター襲撃事件。いわゆる「ナンシー・ケリガン襲撃事件」。本作はその首謀者とされ、後にアイススケート界を永久追放されることになったトーニャ・ハーディングやその関連人物たちへのインタビューを基に構成された彼女の半自伝映画だ。まあ冒頭に示される「大いに異論はあると思うが…」という言葉通り、彼女の言い分に全面的に寄り添った内容となっているのですが、本作のテーマはそこじゃないんですよね。真相はどうあれ、彼女を含め本作に登場する実在の人物たちがどいつもこいつも大バカ者でどうしようもないクズばっかりなんですよ。もう見ていて清々しいくらいのクズのオンパレード(笑)。トーニャの母親もこれがまあ強烈な自己中おばさんで娘を虐待しながら周りに悪態ばかりつくクズ。彼女の夫も酒に酔っては暴力を繰り返す典型的なDV男。誇大妄想の末、自分の器の小ささを押し隠すために出鱈目な計画を思いつく彼女の元ボディガードもどうしようもない大バカ者。そして彼女自身もまた、後先考えず感情の赴くままに行動し様々な問題を引き起こす典型的なトラブル・メーカー。まぁ貧困の問題はあっても、誰も彼も自業自得としか言いようがありません。でも、なんか嫌いになれないんですよね~、この人たち。みんな生きることに真剣で、ただひたすらエネルギッシュに自らの幸せを追い求めてる。ちょっと人生の計画性というものが、どいつもこいつも複雑骨折しているだけで(笑)。このクズっぷりは最後まで徹底されていて、事件後にトーニャが母親と和解しようと抱き着くところでもすぐに盗聴器を持ってることが判明し、またしても罵り合いの大喧嘩が始まるとこなんてもう笑っちゃいましたわ。そして、スケート界を永久追放された後もボクサーに転身ししたたかに生きていった彼女の貪欲さには、もはや呆れを通り越して逆に拍手を贈りたくなっちゃいました。生きることになんとなく疲れた時なんかにこの映画を観たら、また明日から前向きに生きられそうですね。素行不良のはねっかえり娘を演じたマーゴット・ロビーも嵌まり役でした。うん、なかなか面白かったです。7点!![良:2票]