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<ネタバレ>ゲイであることを理由に、狂信的なまでの保守的な母親に捨てられ、以来何年もホームレスとして暮らしてきた黒人青年フレンチ。そんなどん底を這い回るような惨めな生活を変えようと、彼はアメリカ海兵隊に入隊することを決意する。入隊に必要な書類を貰うために数年ぶりに会った母親からは相変わらず邪険に扱われながらもフレンチは無事、海兵隊に採用されるのだった。早速始まる数週間にも及ぶ新兵訓練プログラム。厳しいしごきに耐え、日夜罵倒をくりかえす上官たちにも我慢しながら、フレンチはただ人並な人生を取り戻そうと努力していた。だがある日、彼がゲイであることがバレると上官や同僚たちの彼の見る目が途端にかわってしまい……。本作がデビュー作となる監督の実体験をもとにしたヒューマン・ドラマ。確かに描きたいテーマも分かるし、淡々としながらも最後まで観客を惹き付けるこの監督のセンスの良さも充分に認めるところなのですが、正直、自分はいまいち嵌まれませんでした。この映画、とにかく暗いんですよね。画も暗ければ音楽も暗いし、登場人物も暗い人たちばかりだし、主人公なんて最後までほとんど笑わない根暗の極みみたいな人で自分はまったく感情移入できませんでした。もう少し遊びの部分と言うか、人間臭いとこが欲しかった。なんだか戦争映画の快作『フルメタル・ジャケット』のハートマン軍曹のパートをひたすら真面目にリライトしたら物凄く暗くなっちゃいましたって感じかな。それにしてもベトナム戦争の時代から、アメリカ海兵隊の新兵訓練のやり方ってまったく変わってないんですね。下ネタがマイルドになったくらいで、あのランニング中の歌とかまんまじゃん。そんなわけで、アメリカ軍の内部事情――と言うかアメリカ社会のマイノリティに対する根強い偏見は未だ変わっていないという事実を告発するという点において充分価値は高いのでしょうが、自分の好みとは全く合わない作品でありました。