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<ネタバレ>恐らく実写映画化作品、特に漫画作品においてここまで適切な翻訳作業はなかなかにお目にかかれない。それほどまでに原作から"省く箇所"と"残す場所"を考えられている、漫画の映画化のお手本のような脚本。これほどまでに大胆なストーリーの切り取りを行いながらも、原作での名シーンはほとんど切り取らず、しかもこれらのシーンがストーリー展開を邪魔することなく自然に取り込まれています。具体的にはに泉家を父親のいない母子家庭にするという設定、伸一の母親への思いを増長させると共に、旅行先でのシーンを大幅にカットするものとして効果的に働いていて、ラストの独自の設定も原作よりも強い親子の愛情や絆のようなものを表現していている。傷痕の魅せせ方も秀逸でした。ほかに映画オリジナルの設定で良かったのが、寄生成物が人の顔を見て話さず棒立ちでそれぞれ別の方向を見て話しているのシーン。島田の殺害シーンでもミギーが弓矢のように変形するのも、前後編に分割する上での"見せ場"としても働いてるかつカッコいい。ラストの涙の件も、後編での田宮の殺害シーンに繋がると考えると、非常に分かりやすい(良い意味で)伏線になっている。十分な傑作に仕上がってますが、欲を言えば音楽と演出にもう少し気を使ってほしかった(この人の映画は毎度)。特に重要なシーンで単なる暗転や唐突なカットで済ませるのはもったいない気がする。島田殺害後や田宮が両親を殺害するシーンなど、特に後者についてはもうすこし母親が気付くシーンの演出にこだわっていてほしかった。後の台詞でもある母親という存在に興味を持ったというのがもっと説得力があるものになったのではと思う。キャスティングについてはあまりにているキャラはいませんでしたが 恐らく今回のドラマ部分に欠かせない演技力、時に伸一役で高校生を演じられてなおかつ 、あれだけ"泣き"の演技がうまいのは染谷将太ぐらいしかいなかったんだと思う。自宅にAが襲撃に来るシーンは特に良かったです。 あとキャスティングについてもうひとつ、映画の見方なんて人それぞれなので言いにくいですが、こういう実写化作品でキャスティングによるビジュアル的な問題だけで頭ごなしに作品を否定している人がまだいるみたいですけど、それはもう頭が悪いと言わざるを得ないというか、なんというか。もう少し咀嚼して映画を見ても良いと思います。[良:4票]