<ネタバレ>工場で機械の一部としてネジ締めばかりの単純作業をコント風にチ .. >(続きを読む)
<ネタバレ>工場で機械の一部としてネジ締めばかりの単純作業をコント風にチクリと風刺を効かせて描くのが、いかにもチャップリンらしい。
さらに仕事効率を上げるための自動給食マシンの実験もそう。
労働者の人間性を無視した資本主義社会への痛烈な皮肉になっている。
拾った赤旗を振っていたことから、デモ隊のリーダーと間違われて逮捕されるまでの流れがユーモアたっぷり。
デパートでの転落しそうなローラースケートは見もの。
チキンをダンスの群れでテーブルに届けられないシーンは絶品。
店で初披露したデタラメな歌と軽妙なダンスもたまらない。
チャップリンの動きはアートの域だ。
サイレント時代にセリフのない分、動きでの表現が磨きぬかれたためだろう。
ただ、歯車に挟まれた親方に食事を与えるシーンは、チャップリンが歯車に挟まったり給食マシンで酷い目に遭うシーンと被るので少しくどい印象になってしまった。
ブラック企業やワーキングプアが取り沙汰される現代にも通じる作品。
ただの風刺映画には終わらず、ちゃんとラブストーリーにもなっている。
ラストのスマイルも前向きで感動的。
太陽を背にした状態から太陽に向かって歩む二人の影は、希望とともに時間の経過を表すなど芸も細かい。
納得できないと何十回でも撮り直しをする完璧主義者のチャップリンだけに、影が反対になっているのが単純ミスとは考えにくい。
チャップリンが初めてスクリーンで肉声を発したトーキー映画としても、観る価値がある。