<ネタバレ>これは名作。食いつめ浪人が切腹するつもりもないのに屋敷の庭先 .. >(続きを読む)
<ネタバレ>これは名作。食いつめ浪人が切腹するつもりもないのに屋敷の庭先での切腹を願い出るのは、金をせびり取るのが目的。武士の風上にもおけないやつがいるもので、そんな悪習をどこかで断とうとしたのも当然の流れ。切腹志願者の若者が携えていたのは竹光で、懲らしめとして竹光で苦しみながらの自害をさせたのも、残酷ではあるけれど卑怯者を成敗しただけともとれる。
冒頭の切腹志願の老浪人が、何やら訳あり気で謎に包まれたオーラを出している。どうやら金が目的の切腹志願者ではなく、何か別の目的がありそうな…。と、その口から衝撃的で意外な真相が次々と明らかにされていく展開に引き込まれていく。
竹光を携えた切腹志願者に対する印象が、最初と最後で180度見事に変わってしまった。これだけ見事に引っくり返されては、あっぱれと言うしかない。
仲代扮する老浪人の井伊家に対する抑えがたい怒りや、自分の娘家族を救えなかったことへの悔恨が、ひしひしと伝わってくる。また、武士道の虚飾や武家組織の汚さを痛烈に皮肉っていて、見応えがあった。