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<ネタバレ>ミャンマー(ビルマ)の民主活動家・アウンサンスーチー女史の半生を描いた映画。今までは何となく“軍事政権と戦う女傑”みたいな漠然とした印象しか持ってなかったんだが、父親の暗殺やハンガーストライキ・自宅軟禁・ノーベル平和賞受賞・夫との死別などなど、キャッチーなエピソードがテンポよく描かれるため観やすくて分かりやすい良作ではあった。…が、本作で描かれた背景などをネットで調べていると彼女に対しての懐疑的な見解も少からずあり、中には「米英が西側寄りの政権樹立を画策するために送り込んだ工作員」との見方もあるようだ。なるほどそう考えるとかつての植民地時代の宗主国であるイギリスの教育を受けイギリス人の夫を持つ彼女は、「民主主義=絶対善/独裁政権=絶対悪」という図式を喧伝するのに格好の広告塔であったのかもしれない。まぁ大なり小なりそうした怪しげな陰謀論はあるにせよ、彼女が人生を賭して祖国の民主化のために尽力してきたという立派な功績は否定できないし、その歩んでこられた苦難の道程にできる限りの敬意を表したいと思うのは私とて吝かではない。ただ、“西側諸国のゴリ押しプロデュースによって聖女のように祭り上げられた虚構のアイドルと、その茶番を嬉々として映画化したミーハー根性丸出しのバカマッチョ・リュックベッソン”。そんな薄ら寒いマッチポンプ的構図を妄想の中で思い描いてみた折に、私の背筋を一抹の悪寒が走り抜けた事も末筆ながら付け加えておきたい。