<ネタバレ>"歩行祭"をまるまる物語にするという着眼 .. >(続きを読む)[良:1票]
<ネタバレ>"歩行祭"をまるまる物語にするという着眼点が斬新で面白いと思いました。そして主人公二人、貴子と融が異母兄妹であるという事実、これこそが本作の肝であり、ただの同級生同士が一晩イチャイチャ歩きながら惚れた腫れたという話であったら、全く深みがなく物語として成立しないでしょう。恩田陸さんの原作を先に読みましたが、当然ロケーションに劇的な変化はない上に、一晩歩くだけの話を退屈させないために人物の感情が多く描かれています。映画はまさか2時間延々と歩く場面だけを映すわけにもいきません。歩くだけでは感情の機微を描写するのも難しい。従って必要以上に回想場面を入れたり、梨香の妄想をインサートしたりと、あれこれと間を持たせる手段に苦慮していたように思います。印象として、やはりこの題材は元々小説向きで、あまり映画向きではないように思えました。残念ながら、私の母校では歩行祭のような学校行事はありませんでした。あったのは修学旅行、文化祭、体育祭といった"ど定番"の3点セットだけです。生徒が学校行事に期待するもの。それは、思い出作りだと思います。もう一つ、非日常である解放感、高揚感が普段はできない思い切った行動を後押ししてくれる"シチュエーション"だと思います。歩行祭は、これに"達成感"も加わると思います。それも、ただ歩き通した達成感だけではなく、みんなが一晩歩きながら達成したそれぞれの熱い思いです。ゴールのシーンは清々しく、その熱い思いが充分に伝わりました。この映画が唯一原作を超えた瞬間だと思います。[良:1票]