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<ネタバレ>かの黒澤監督の代表作であり、そのあらすじから、ずっしりと重たい内容の映画と思っていたが、意外と喜劇調にできていて驚きました。これは余命を覚悟した男が、悩み、迷い、奔走し、最終的には死ぬまでに何か自分が生きた功績を残そう、と決意し実行に至る物語です。しかし人間遅かれ早かれ死ぬのだから、これはある意味で誰にとってもの物語と思う。言わんとしていることは、必ずしも余命宣告されてからどうこう、ではなくて、常日頃からただ毎日を生きるな、活きろ、ということであり、使命とは与えられるものではなく、自分で決めろということではないかな。公務員はただ座ってるだけで給料がもらえるような描写がありますが、それは公務員に対する風刺でも揶揄でもなく、本作のテーマ上、職業も給料も安泰な人間を主人公にすえることが何より重要だったように思います。私としては、四十半ばでいろいろと人生を振り返り、残りの人生をどう生きるか、じっくりと考えるいい機会になりました。志村喬さんの大きな黒目の澄んだ瞳がとても心に残ります。日本が誇る名監督、名優の仕事をこの目に観ることができてよかったと思う。